ストレスチェックとリスクマネジメント【保険代理店あれこれ001】

保険代理店

1.ストレスチェックとは

ストレスチェック制度は、労働者が自分のストレス状態を知ることで、ストレスをためすぎないように対処したり、職場の状況を把握して職場環境の改善につなげたりすることで、「うつ」などのメンタルヘルス不調を未然に防止するための仕組みです。(注1)

2014年6月に成立した改正労働安全衛生法により、 2015年12月からストレスチェック制度が義務化されました(50人未満の事業場は、当面の間、努力義務)。

企業は年に1回以上、労働者へ自記式の調査票を配布するなど、労働者にストレスチェックを行わせなければなりません。(注2)(例えば弊社はWEB回答方式を採用しています。)

さて、ストレスチェックについて、意義やポイント、リスクマネジメントの観点から詳細に見ていきたいと思います。

2.ストレスチェックの意義3つ

意義をここでは主に3点挙げます。

①メンタルヘルスの早期発見と予防

ストレスチェックを定期的に実施することで、労働者は、自身が抱えるストレスやメンタルヘルスの問題を早期に発見できます。

深刻な健康問題に発展する前に適切な対策を講じることが可能となります。

②労働環境の改善

ストレスチェックの結果を基に、職場環境や業務プロセスに存在するストレス要因を対話によって探ることで、組織全体の労働環境を改善するための具体的な施策を立てることができます。

③生産性の向上と離職率の低減(リテンション)

労働者のストレスを軽減し、健康を維持することができれば、業務効率や生産性の向上にもつながります。

また、メンタルヘルス問題による離職を防ぐことで、組織の人材流出を防ぐことができます。

3.ストレスチェックを受ける労働者のポイント2点

①ストレスチェックの受検と回答(注3)

労働者にはストレスチェックの受検義務までは課されていません。

これはメンタルヘルス不調で治療中のため受検の負担が大きい等の特別の理由がある労働者にまで受検を強要する必要は無いためです。

しかしながら制度を効果的なものとするためにも、全ての労働者が受検することが望ましいとされています。

そして労働者が自身の状況をありのままに答えることが重要です。

なお、安心してストレスチェックに回答できる環境にするためにも、労働者本人の同意がない限り、事業者へのストレスチェック結果の提供は禁止されています。

②高ストレス者への面接指導(注4)

ストレスチェックの結果により、医師による面接指導を受ける必要があると認められた高ストレス者には、ストレスチェックの実施業者が面接指導申し出るように推奨することが望ましいとされています。

そして本人から面接指導の申出があれば、事業者は面接指導を実施しなければなりません。(実際に面接指導を行うのは産業医)

面接指導は、ストレスその他の心身や勤務の状況などを確認することにより、労働者のメンタルヘルス不調のリスクを評価し、本人に指導を行うとともに、必要に応じて、事業者による適切な措置につなげるためのものです。

4.リスクマネジメントの観点から

ストレスチェックの実施がどのようにリスクマネジメントにつながるでしょうか。

3つの観点で考察します。

①人的リスク

メンタルヘルス問題は、業務上のミスや事故、さらには労働紛争につながるリスクがあります。

また、労働者の健康問題は生産性の低下や欠勤、離職につながり、経営に直接的な影響を及ぼします。

ストレスチェックによりこれらのリスクを早期に発見・対処することで、組織全体の安定性と信頼性を高めることができます。

②法的リスク

ストレスチェックを適切に実施しない場合、法的な制裁や訴訟リスクが生じる可能性があります。

制度として義務化されていますので、法令に基づいた対応をする必要があります。

③レピュテーションリスク

メンタルヘルス問題が社会に露見すると、場合によっては企業の評判に悪影響を及ぼす可能性があります。

積極的な健康管理は、企業の社会的評価を守ることにもつながります。

5.雑感

ストレスの原因は人それぞれで、自分では気付かないうちにストレスを溜め込んでいることもあります。

そうした状況を1年に1度、客観的に知るというのは健康診断などと同様にとても大切なことです。

個人として、そしてリスクマネジメントのプロとして、毎年のことだからと「作業」にならないようにしたいものです。

注1-4
出典:厚生労働省 滋賀労働局

注4
出典:厚生労働省HP 労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル


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